戦争と女性について考えさせられる1冊 同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬

 

ご時世的にロシア(ソ連)の戦争ものが賞を取るのは、避けられがちと考えられる中、2022年の本屋大賞アガサ・クリスティー賞受賞という結果となった本作。興味をそそられて、洋書を中断して読みました。

 

まず、私は世界史に明るくないため、第二次世界大戦時のソ連の状況はあまり知りませんでした。

知っていることは、北方領土問題くらいです。なので、歴史的な部分の正確さについてはわかりません。(書評をみると色々意見があるようですが…)

 

なので、ソ連田舎の村の娘セラフィマの人生の物語として読みました。

 

ストーリーとしては面白く、サクサクと読み進めることができましました。セラフィマの狙撃手としての成長、仲間との絆、イリーナとの関係も進展していくのでスッキリとしました。

 

ただ、ミーシカとの結末は個人的にはいまいちでした。セラフィマの狙撃手になる発端に起因するのだとは思うのですが、、、

それにしても、その部分はサラッとしすぎかなと。

ミーシカの部下の心情も描かれているのに、そこはスルーなところが残念でした。

 

戦争と女性の問題はどの国でも昔から同じです。非戦争時にはそのようなことは起きないよう、自制心が働くのに、戦争時にはその自制心が崩壊してしまう。もちろん、男性側に絶対的な非はあるのですが、その前に、戦争という事象を起こしてしまう。このこと自体がやはり問題なのだろうと改めて思いました。